現在はHENDELを介した入力を行うので、
入力時に本マニュアルを参照する必要はない。(2009.08.14)
(1995年度改訂版)
北海道大学理学部物理 向井 重雄・吉田 ひとみ
コーディングをするにあたっての基本となる文法について
1.使用できる文字、記号
パンチ可能なもので以下はそのリストである。
文字 |
A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
|
数字
|
0 1 2 3 5 5 6 7 8 9
|
特殊記号 |
# @ \ * > < / + - _ ( ) [ | & : ; ' ? ! = . , (space)
|
2.記号の特殊な用法
記号 |
説明 |
用例 |
[ |
[1] およそ、約。数値の後に用いる。 |
[5: 約5 |
[2] 範囲。数値と数値の間に用いる。 |
3[5: 3から5まで。 |
? |
不確定。数値またはコードの前につける。 |
5?:5らしい |
> |
以上。数値または量をあらわすコードの前につける。 |
>5: 5以上 |
< |
以下。数値または量をあらわすコードの前につける。 |
<5: 5以下 |
= |
等しい。左辺はコード、右辺はコードまたは数値。 |
RSD=197AU: 残留核は金197である |
'#' |
連結子をあらわす。#は1文字または2桁以下の数字。 |
'5': 連結子5番 |
/*comment*/ |
コメント文をあらわす。
コメント番号のみを /*@n1n2@*/ と記してよい。
その場合は内容は Free Text のページにまとめて書く。
| /* '1'comment */: 連結子1番を持つコメント。 |
+- |
誤差の上限、下限をあらわす。 |
+-3: プラスマイナス3 |
\\ |
セクションのはじまりをあらわす。 |
\\BIB,1; |
\ |
データ・テーブルのはじまり\DATAと、終わり\ENDをあらわす |
|
, |
複数個の値を分ける。 |
197AU,208PB: 金197と鉛208 |
; |
文の終わりを示す |
|
(,) |
値が複数個あることをあらわす。多重カッコは許されない。 |
(197AU,208PB): 金197と鉛208 |
+ |
[1] 和集合を示す。2つ以上の数値またはコードの間に用いる。 |
MAG+MWPC: 磁気スペクトロメータと多線比例計数管
|
[2]正のパリティをあらわす。この場合、J-PI=の次に数値の後につける。 |
J-PI=3+: Jπ=3+ |
- |
負パリティをあらわす。J-PI=の次の数値の後につけられる。 |
J-PI=2+: Jπ=2+ |
複合コ−ドを合成するのに用いる。
NRDFでは単純コ−ドを複合して多種多様の複合コ−ドを作成することができるが、
検索の便を考えると、
同一内容をもつ多くの語のあることは必ずしも好ましくないので、
複合語をヘッダーなどのため新しく合成する場合には充分注意すること。
|
EXC-ENGY: 励起エネルギー |
/ |
分数記号。 |
2/3: 3分の2 |
3.単位
-
次の単位を用いることができる。
GEV (109eV), MEV (106eV), KEV (103EV),
CM (cm), M (m), U (μ), P (pico), N (nano), F (femto)
-
単純単位の数式表現による複合単位を用いることができる。
-
複合単位を用いる場合でもコ−ドとして登録する必要がある。
例) CM**2.3, ueV, KEV/CM
-
数式表現を単純コ−ドを用いて構成することができない場合、
または複雑な表現になる場合UNITを用いコメントを付す。
例) UNIT'1'
4.連結子
同一セクション内のデ−タの連結を行う連結子は2桁以内の正整数を用いて'n',セクションにまたがる連結子は2文字以内までのアルファベットを用いて'X'あるいは'XY'とする。
5.粒子と原子核
次の記号用法を用いる。
-
電子: E
-
陽電子: EP
-
反粒子: Aを左側につけてあらわしてもよい。K0はAK
(ただし、現在は、この反粒子の記号は用いることはできない。)
-
原子核: 208PB(鉛208), PB(natural Pb)
自然同位体比の窒素および燐は、999N, 999Pと書く。
6.核反応
以下、
pを入射粒子 (incident particle)、
Tを標的 (target nucleus)、
a, a1, a2, a3..., b ,b1, b2...を放出粒子 (emitted / outgoing particle)、
Rを残留核 (residual nucleus)
として表示する。
反応種 |
反応式 |
NRDFコード |
コメント |
通常の2体反応 |
p+T→a+B |
T(p,a)B |
aは必ずしも 検出粒子 でなくてもよい。
検出粒子は検出粒子として別途に記入する。
|
多粒子放出反応 |
p+T→a1+a2+...+an+B |
T(p,a1,a2,...,an)B |
a1,a2,...anは、
必ずしも検出粒子でなくてもよい。
a1,a2,...an順序は普通問題にしない。
しかし、
粒子の放出の順序を問題にするとき、
左に書かれた粒子ほど早く放出されるものとする。
|
同一粒子放出反応 |
p+T→a1+a1+....+a1+a2+a2+...+a2+B |
T(p,n*a1,m*a2)B |
個数が不明の場合はnやmをXとする。 |
包括反応 |
p+T→a+X |
T(p,a)X'1' |
検出粒子a以外は不明として残留核の所にXを記入する。
包括反応であることを連結子をつけて必ずコメントする。
|
順次反応 |
p+T→a1+a2, a2→b+B |
T(p,a1)a2+a2(,b)B |
検索は第一反応その後の+記号のみで行う。
二段目の核反応は検索の対象にならない。
現在、この反応式は、使用できない。
|
準安定状態生成反応 |
p+T→a+Bmeta |
T(p,a)B'1' |
準安定状態、核異性体のの記号は記入しない。
コメントをつけて説明する。 |
核分裂反応 |
T(p,fissn) |
T(p,FISSN) |
FISSNは核分裂であることを示し、核種コ−ドに登録する。 |
核融合反応 |
p+T→B |
T(p,)B |
現在この反応式は使用できない。
|
7.Data Stream,Data Set の構成
-
標準的な構成: 別紙: p15〜p17を参照
「荷電粒子核反応データファイル作成報告書」(昭和56年3月)から引用
-
同一のデータセット番号をもつ複数個の \\DATA section は、
共通のnumerical data のくくりだし(例1)以外存在してはならない。
従って(例2)のようなものは許されない。
例1)
\\DATA,1,2;
...
\\DATA,1;
...
\DATA;
...
\END;
例2)
\\DATA,1;
...
\DATA;
...
\END;
\\DATA,1;
...
-
1つの \\DATA section に複数個の表(\DATA)を持つことができる。
しかし、このような構成はできるだけさける。
\\DATA,1;
...
\DATA;
...
\END;
\DATA;
...
\END;
-
各section、
及び DATA set の順序には意味がない。
しかし、
1つのデータsection の中で 表(\DATA)、文、コメントの順序は論理的意味をもつ。
\\DATA,1;
文またはコメントまたは空白
\DATA;
データ・テーブル(1)
\END;
コメントまたは空白
\DATA;
データ・テーブル(2)
\END;
コメントまたは空白
-
入射粒子か放出粒子のエネルギーを heading に用いる場合には、
必ずINC-ENGY-CM, INC-ENGY-LAB または ENGY-EMT-CM と ENGY-EMT-LABとする。
8.グラフデータ
論文中の Figure データのうち Input する Figure を赤ペンで指定する。
指定時に必要な項目は次の通りである。
この指定は赤文字で行う。
9.コメント
-
核データ記入用紙の書式を用いては記入しにくい情報は
further information として英文で自由に記入してよい。
記入の仕方は以下の方法で行う。
-
コメント連結子は数値または文のすぐ後ろにつける。
例)A=pcm'1';
-
カッコに囲まれた数値またはコードの各々にコメントがある時は、
それらの数値またはコードのすぐ後ろにフラグをつける。
例)A=(P'1',Q,R'2');
または、
カッコ内の全ての数値またはコードの全てにコメントを付ける時は、
カッコの外にフラグをつける。
例) A=(P,Q,R)'1,2';
-
section 全体にわたるコメントは section 番号のすぐ後につける。
例)\\EXP,1[n; /* @1@ */
10.フリーテキスト( Free Text )
コメントの内容には、
辞書に登録されていない物理量、入力する物理量等に対するコメントなどの場合がある。
これは文字、数字、記号で自由に書くことができる。
11.新規コードの作り方
-
コード表を見て対応するコードがないことを確認する。
-
よく使われている物理量、単語であり、
フリーテキストとしてコメントで入力することでは不十分であることを確認する。
この確認はコーディング担当者が行う。
-
すでに登録されているコード、
単位を組み合わせて複合コード、
新しい単位を作成しても直ちに使用可能とはならない。
必ず新規コードの登録が必要である。
-
新規コードは次の登録手続きを行ってはじめて使用することができる。
Campus Card に
(a) | 論文(D)番号(具体的な論文が無い場合は、記入しなくてもよい) |
(b) | 新コード、単位 |
(c) | 定義 |
(d) | 展開形 |
(e) | 分類(単純コード、複合コード(核反応、検出、物理量、その他)、単位) |
(f) | 項目名(左辺)のものか項目値(右辺)のものか |
(g) | 属するクラス番号 |
(h) | 申請者氏名 |
(i) | 日付 |
(i) | 日付 |
を以下の e-mail addressに送る。hitomi@nucl.phys.hokudai.ac.jp
-
申請のあったコードについては、毎月の運営委員会で議論し決定する。
12.コーディング上での注意
別紙
- I.[1]
以下に説明するデータ記入の形式(入力書式)は、
一つの実験または1篇の文献に記載されている
荷電粒子核反応データの収集を目的として設計したものである。
この書式にしたがって入力することにより
コーディング者がデータ収集作業を行なうことができる。
また、
このことで原子核実験研究者が直接データ収集をできるものとしたい。
- I.[2]
最初にこの入力書式全体の構成についてのべておく。
図1に示すように入力データは3つの section に分かれている。
これらをそれぞれ BIB section , EXP section および DATA section とよぶ。
各 section には以下の内容を記入する。
- BIB タイトル、著者名、著者の所属機関などの書誌的事項
- EXP 核反応の型、加速器、ビーム測定器などの実験条件
- DATA 終状態を指定するなど数値データを同定する条件と数値データ
各 section の最初は必ず \\ の記号ではじまることになる。
したがってBIB,EXP,DATA の各 section の最初は
\\BIB,\\EXP,\\DATA のスティトメントではじまることになる。
同一の EXP の実験条件のもとで行なわれる測定も、
反応後の終状態が異なれば得られた数値データも異なってくる。
このような反応の終状態などの条件は DATA section に記入する。
数値データを記入する場合ただ数値のみをならべたのでは、
それらがどの研究者がいかなる測定によって得た数値データであるのか明らかでない。
他の文献ファイルなど用いなくても
このデータファイルで書誌的事項や実験条件を知ることができるようになっている。
図1は簡単な例によってその記入書式全体の構成を示したものである。
図1 入力書式全体の構成例
\\BIB,1,2,3,...;
BIB section (書誌的情報の記入)
\\EXP,1,2,...;
EXP section (一般的実験条件の記入)
\\EXP,2;
EXP section (終状態の選択など個々のデータに固有な測定条件)
\\DATA,1;
DATA section (測定条件記入と数値データの列)
\DATA;
DATA subsection (数値データ 微分断面積 励起関数など)
\\DATA,2;
....
まず個々の測定によって得られた数値データの組に適当な番号、
この例では1〜3の番号が与えられており、
この番号がそれぞれ \\DATA につづくマス目に記入されている。
例えば、
微分断面積や励起関数の数値データの列、\\DATA,k の次には、
反応の終状態など個々の場合の測定条件と、
\DATA につづく数値データの列がならんでいる。
いまデータの組「1」とデータの組「2」とが同一の実験条件のもとで得られたとする。
この場合には同一の実験条件を2度繰り返さなくても、
\\EXP に続く枠の列のなかに「1」、「2」の番号を記入し、
その下に実験条件を具体的に一度だけのべれば充分である。
枠のなかの番号1、2は、
それぞれ「1」「2」のデータの組みがいずれも\\EXP,1,2,...;
に続いて記入されている実験条件のもとで得られたことを示している。
また図1の「3」のデータの組が、
「1」「2」のデータの組みの場合と異なる実験条件のもとで得られたことを示している。
さてこれらいずれのデータの組みも書誌的事項を共通にしている。
このことを示すため、\\BIB につづくマス目に1、2、3の番号を記入する。
-
I.[3]
以上の関係を逆にいえば、
BIB section はまづ複数の EXP section に展開されている。
このことを、
\\BIB と \\EXP につづくマス目に対応する番号を記入することによって示す。
同じく個々の EXP section は単数または複数の DATA section に展開されている。
この場合にも BIB section の場合と同じように、
\\EXPと \\DATA につづくマス目に適当な番号を記入することによって、
両者の関係を表すことができる。
以上のことを要約してみよう。
個々の数値データの組を同定するには、
ビームの条件、標的核や個々の測定の条件など、
きわめて多くの条件に関する情報を必要とするものであって、
この核データの記入書式では、
これらの多くの条件のうち共通した部分をできるだけ前にくり出しながら、
全体に共通なものと部分的共通なものとに分けてそれぞれひとまとめにし、
これらひとまとめにした条件の間の関係を表現することができるように工夫されている。
さて、 核データは、
一つの DATA section とこれに応じた EXP section および BIB section をあわせて、
はじめてまとまったものとなる。
1個の DATA section と、
これに応じた EXP section および BIB section を加えたものをデータセットという。
図2のように、
多くのDATA section が一つの EXP section 、BIB section を共有する場合には、
破線の閉曲線に応じた複数のデータセットが形成されている。
実際には BIB、EXP、DATA の各 section の分け方が非常に明らかなわけではない。
そこで各 section には記入に便利なように各 section に属する項目をならべておいて、
これら個々の項目に対する情報を所定の場所に記入することになっている。
以下、
まず2、3、4節では典型例を用いて、
BIB、EXP、DATA section の記入法について説明する。
5ではデータ記入に必要な文法についてのべ、6では特殊な用例を示す。
特殊な用例が必要となる場合も多いと思われるが、
そのためにはあらかじめ文法を正しく厳密に理解しておくのがよい。
図2 は一つのデータセットを示す。
BIB section
EXP section EXP section
DATA section DATA section DATA section
この部分の説明は、
NRDF-2で処理するデータのデータ構造が、
樹状的な場合に限っているような印象を与えると思われる。
これは図1の示すデータ構造が樹状的であるためであって、
BIB、EXP、DATA の関係は樹状的であるとは限らない。